
「人間ドック、そろそろ受けたほうがいいのかしら」
「オプション検査、あれもこれもと勧められて、結局よくわからないまま申し込んだ」
——そんな声をよく聞きます。
検診は、多く受ければ受けるほど安心、というものではありません。
大切なのは、効果が確かめられているものを、決められた年齢・間隔で、とりこぼさずに受けること。
今日は、その「土台」をはっきりさせておきましょう。
まずは国が勧める5つの検診から
厚生労働省が指針で示している、市区町村の検診は5つあります。
| 検診 | 対象年齢 | 間隔 |
| 子宮頸がん | 20歳以上 | 2年に1回 |
| 乳がん(マンモグラフィ) | 40歳以上 | 2年に1回 |
| 大腸がん(便潜血検査) | 40歳以上 | 1年に1回 |
| 肺がん(胸部X線ほか) | 40歳以上 | 1年に1回 |
| 胃がん(内視鏡またはX線) | 50歳以上 | 2年に1回 |
この5つは、「受けることで死亡率が下がる」という根拠が確かめられた検査です。
お住まいの市区町村を通せば、無料〜数千円程度で受けられることがほとんど。
まずはここが土台になります。
なお2024年に改訂された大腸がん検診のガイドラインでは、対策型検診として推奨される年齢の上限が74歳と示されました。
年齢の目安は、こうして更新されていきます。
案内が届いたら、その年の最新の内容に目を通しておくと安心です。
検診にはいいことばかりでない面もある
意外に思われるかもしれませんが、国立がん研究センターは、検診の「不利益」についても丁寧に説明しています。
たとえば、がんではないのに疑いありと出る「偽陽性」。
その後の精密検査には、時間も費用も、心の負担もかかります。
また、放っておいても命を脅かさなかったであろうがんを見つけて治療してしまう「過剰診断」の可能性もあります。
だからこそ、「効果が確かめられた検査を、確実に」なのです。
そしてもし精密検査が必要と言われたら、それは決して怖がるためではなく、白黒はっきりさせるための一歩。
必ず受けてください。
人間ドックは「土台+自分のリスク」で組み立てる

では、人間ドックはどう考えればいいのでしょう。
おすすめは、5つの検診を土台として押さえたうえで、自分の背景に合わせてオプションを1〜2個だけ足すという組み立て方です。
選ぶ基準は「なんとなく心配だから」ではなく、自分の持っているリスク。
- たばこを吸っていた期間が長い → 肺のCTを主治医に相談してみる
- 家族に同じ病気の人がいる → その臓器の検査を厚めに
- 胃の検査でピロリ菌を調べたことがない → 一度、感染の有無を確認しておく
迷ったときは、申込みの前に、かかりつけ医に「この検査、私に必要でしょうか」と一言たずねる。
この15秒の質問が、いちばん確実な近道です。
とりこぼさないための仕組みづくり
とはいえ、いちばんの敵は「うっかり忘れ」。
日本のがん検診受診率は、国の目標である60%にまだ届いていないのが現状です。
そこで具体的な提案をひとつ。
「誕生月に受ける」と決めて、冷蔵庫の扉に紙を1枚貼ってしまうこと。
紙には5つの検診名と、最後に受けた年を書いておくだけ。
2年に1回のものは、次の予定年も書き添えます。
自治体からの案内が届いたら、その場でカレンダーに書き込む。
予約の電話は、案内を持ったまま、その場でかける。
——これだけで、「気づけば3年空いていた」がなくなります。
「人生100年時代、健康に気をつけて色々楽しみたい」
というお声のように、検診はその「楽しみたい」を支える土台です。
検診は出かけるための通行証
心配だから受けるのではありません。
旅にも観劇にも、安心して出かけていくために受けるのです。
今年の誕生月、あなたはどの検診の番でしょうか。
まずは冷蔵庫に貼る紙を、一枚。
<参照>
厚生労働省「がん検診」(指針で定める検診の対象年齢・受診間隔・検査項目) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000059490.html
厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000111662.pdf
国立がん研究センター がん情報サービス「がん検診」(検診の利益・不利益、受診率) https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/screening/index.html
日経メディカル「19年ぶり改訂の『大腸がん検診ガイドライン』」(推奨年齢の上限) https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202411/586675.html
「からだ・ヘルスケアに関する読者アンケート」(読者の声)




