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骨粗しょう症を防ぐには?骨を守る食事・運動と転倒予防を整理

 「たかが骨折」と、あなどれないのが、大人世代の骨折です。
転んで足の付け根を折り、そのまま歩けなくなり、寝たきりへ——。
実は、介護が必要になるきっかけの上位に、この「転倒・骨折」が入っています。

その背景にあるのが、骨粗しょう症。

骨がもろくなり、ちょっとした転倒でも折れやすくなる状態です。
自覚症状がないまま進むため、「気づいたときには骨折していた」ということも少なくありません。

でも、骨は、いくつになっても手をかければ応えてくれます。
この記事では、骨粗しょう症とはどんな状態か、骨を守る食事と運動、そして転倒そのものを防ぐ工夫まで、公的機関や専門機関の情報にもとづいてお伝えします。

「骨を守る」と「転ばない」の両輪で、寝たきりを遠ざけましょう。

骨粗しょう症とは?とくに女性は要注意

 骨粗しょう症とは、骨の量(骨密度)が減って、骨がスカスカにもろくなり、折れやすくなった状態のことです。
痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進むのが、やっかいなところ。
転んで骨折して、はじめて気づくことも多いのです。

とくに気をつけたいのが、女性です。

骨を守るはたらきをする女性ホルモン(エストロゲン)が、閉経の前後で大きく減るため、その頃から骨密度が急に下がりやすくなります。
70代の女性では、およそ3人に1人が骨粗しょう症とも言われます。

折れやすいのは、背骨、足の付け根、手首、腕の付け根など。
とくに足の付け根の骨折は、歩く力を奪い、そのまま寝たきりにつながることもある、こわい骨折です。
だからこそ、「折れてから」ではなく、「折れる前」の対策が大切になります。

骨を守る食事の基本

 骨づくりの土台は、毎日の食事です。
カギになる栄養素は、カルシウム・ビタミンD・ビタミンK・たんぱく質。
なかでも、意識したいのが最初の2つです。

カルシウムは、骨の主な材料です。
1日の目安は、おおよそ700〜800mg。
牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品、小魚、緑黄色野菜に多く含まれます。

ビタミンDは、そのカルシウムの吸収を助ける、いわば「骨づくりの相棒」です。
目安は1日10〜20μgほど。
イワシやサケなどの魚、干ししいたけやきくらげなどのきのこ類にたくさん含まれています。

栄養素はたらき多く含む食品
カルシウム骨の主な材料乳製品、大豆製品、小魚、青菜
ビタミンDカルシウムの吸収を助ける魚、きのこ類
ビタミンK骨の質を保つ納豆、青菜
たんぱく質骨の土台をつくる肉、魚、卵、大豆

無理な食事制限や、極端なやせは、骨には大敵です。
いろいろな食品を、しっかり食べることが、いちばんの骨活になります。

運動と日光浴で、骨を強くする

 骨は、刺激を受けると強くなるという性質を持っています。
だから、運動が欠かせません。

おすすめは、骨に体重や刺激が加わる運動です。むずかしいことは必要ありません。

  • ウォーキング:地面を踏む刺激が、骨を強くします。毎日少しでも歩く習慣を
  • かかと落とし:つま先立ちから、かかとをストンと落とす。足の付け根の骨に、よい刺激になります
  • 筋力運動:スクワットや、いすからの立ち座りで、足腰を支える筋肉も鍛える

そしてもうひとつ、日光浴も大切です。
ビタミンDは、食事からとるだけでなく、日光を浴びると皮膚でもつくられます。
冬なら30分〜1時間ほどの散歩、夏なら暑さを避けて木陰で30分ほど過ごすだけでも十分。
運動と日光浴を、散歩でまとめて叶えるのが、賢いやり方です。

「骨密度検査」で、今の骨を知る

 食事や運動と並んで大切なのが、今の自分の骨の状態を知ることです。
骨粗しょう症は症状が出にくいため、検査でしか、確かめられないからです。

そのための検査が、骨密度検査(骨量測定)です。
多くの市区町村が実施する骨粗しょう症検診で受けられるほか、整形外科などの医療機関でも調べられます。
とくに、閉経を迎えた頃の女性は、一度受けておくと安心です。

早めに骨密度の低下がわかれば、食事や運動での対策はもちろん、必要に応じて骨を守る薬による治療も選べます。
「気になる」と思ったら、まずは検査。数字で自分の骨を知ることが、対策の出発点になります。

「転ばない工夫」も、骨折予防の半分

 骨を強くすると同時に、そもそも転ばないようにすること。
これも、骨折予防の大切な半分です。

実は、転倒事故の多くは、外ではなく家の中で起きています。
居室、階段、玄関、洗面所や浴室など、身近な場所が要注意。家の中を見直すだけで、リスクはぐっと減らせます。

  • 段差をなくす・目立たせる:小さな段差につまずかないよう、印をつけたり、なくしたり
  • 床のものを片づける:新聞、電気コード、めくれたマットは、つまずきのもと
  • 手すりをつける:階段、廊下、トイレ、浴室に。立ち座りの支えにも
  • 明るくする:夜のトイレなどのために、足元灯を。暗がりの転倒を防ぎます
  • 足元を整える:脱げやすいスリッパより、かかとのある滑りにくい靴を

こうした住まいの工夫は、介護保険を使って、手すりの取り付けや段差の解消といった住宅改修の補助を受けられる場合もあります。
ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。

骨密度検査と、治療について

 「検査でしか分からない」骨粗しょう症。
検査と治療について、もう少しくわしく知っておきましょう。

骨密度検査にはいくつか方法がありますが、背骨や足の付け根を調べるDXA(デキサ)法が、精度が高いとされます。
検査結果は、若い世代の平均値と比べて、自分の骨量が何%かで示されます。
この数値をもとに、骨粗しょう症かどうか、治療が必要かが判断されます。

骨密度が低いと分かった場合、食事・運動に加えて、薬による治療が選択肢になります。
骨が壊れるのを抑える薬、骨をつくるのを助ける薬、カルシウムの吸収を助ける薬など、いくつかの種類があります。
医師が、骨の状態や体質に合わせて選びます。「骨粗しょう症は、治療できる病気」です。
気になる場合は、整形外科などで相談しましょう。

骨に「よくない」習慣も見直す

 骨を強くする習慣とあわせて、骨に負担をかける習慣も見直しましょう。

  • 極端なダイエット・やせすぎ:栄養不足は、骨をもろくします。無理な食事制限は禁物です
  • たばこ:喫煙は、骨密度を下げる要因のひとつとされています
  • お酒の飲みすぎ:過度の飲酒も、骨に良くありません。適量を心がけて
  • カフェインや塩分のとりすぎ:とりすぎると、カルシウムの排出を増やすとも言われます。ほどほどに
  • 運動不足・閉じこもり:骨に刺激が加わらず、骨が弱くなります。日光浴を兼ねて外に出ましょう

「骨によいことを足す」と同時に、「骨に悪いことを減らす」。
この両面が、丈夫な骨を保つコツです。

転倒を防ぐ、体づくり

家の中の工夫に加えて、転びにくい体をつくることも、骨折予防の大切な半分です。

  • 筋力をつける:足腰の筋肉(スクワットやかかと上げ)が、体を支え、転倒を防ぎます
  • バランス力を鍛える:片足立ち(必ず何かにつかまって)などで、ふらついたときに立て直す力を養います
  • 柔軟性を保つ:体がかたいと、つまずいたときに対応しにくくなります。無理のないストレッチを
  • 視力・聴力も大切に:見えにくさ・聞こえにくさは、転倒のリスクを高めます。気になれば受診を
  • 薬の影響に注意:ふらつきや眠気を起こす薬もあります。気になるときは医師に相談を

「骨を強くする運動」と「転ばない体をつくる運動」は、多くが重なります。
日々の運動が、骨折予防の両輪を、まとめて支えてくれるのです。

よくある質問(Q&A)

Q. 骨密度検査は、何歳で受ければいい?
A. とくに女性は、閉経を迎えた頃に一度受けておくと安心です。
骨粗しょう症は自覚症状が出にくいので、症状がなくても、市区町村の検診や整形外科で調べておくとよいでしょう。
気になる方は年代を問わず相談を。

Q. 牛乳が苦手です。カルシウムはどうとれば?
A. 乳製品以外にも、豆腐・納豆などの大豆製品、小魚、緑黄色野菜(小松菜など)、海藻にもカルシウムが含まれます。
いろいろな食品から、まんべんなくとりましょう。
ビタミンDと一緒にとると吸収が高まります。

Q. 骨粗しょう症と言われました。もう手遅れですか?
A. いいえ。食事・運動・日光浴に加え、必要に応じて薬による治療で、骨密度の維持・改善が期待できます。
転倒予防と合わせて対策すれば、骨折を防げます。
整形外科でよく相談しましょう。

Q. 日光浴は、どのくらいすればいい?
A. 冬なら30分〜1時間ほどの散歩、夏なら暑さを避けて木陰で30分ほどが目安です。
日焼けを気にしすぎて日光を避けすぎると、ビタミンDが不足することも。
適度な日光浴を心がけましょう。

Q. 男性も骨粗しょう症になりますか?
A. なります。女性ほど多くはありませんが、男性も加齢や生活習慣、病気などで骨密度が下がります。
食事・運動・日光浴と、気になる場合の検査は、男女を問わず大切です。

Q. サプリメントでカルシウムをとってもいい?
A. 食事でとるのが基本ですが、不足しがちな場合はサプリメントも選択肢になります。
ただし、とりすぎは逆効果になることもあるので、持病のある方や薬を飲んでいる方は、医師に相談してから利用しましょう。

Q. 一度骨折すると、また折れやすいですか?
A. 一度骨折すると、次の骨折のリスクが高まるとされています。
だからこそ、骨折後も骨粗しょう症の治療を続け、転倒予防と骨を守る生活を続けることが大切です。
あきらめず、対策を継続しましょう。

もし骨折してしまったら

 どんなに気をつけていても、骨折してしまうことはあります。
そのとき大切なのは、できるだけ早く治療を受け、動かない期間を短くすることです。

  • すぐに受診を:転んで強い痛みや腫れがあるとき、足の付け根を打って立てないときは、骨折の疑い。
    無理に動かさず、早めに整形外科へ
  • 背骨の圧迫骨折に注意:骨粗しょう症が進むと、はっきり転ばなくても、いつのまにか背骨がつぶれる「圧迫骨折」が起こることがあります。
    「背中や腰が痛い」「背が縮んだ」「腰が曲がってきた」といったサインにも注意を
  • 安静のしすぎに注意:骨折で長く寝込むと、筋力が急激に落ち、フレイルや寝たきりのリスクが高まります。
    医師の指示のもと、できる範囲で早めに体を動かし、リハビリを

骨折は、寝たきりの入口になりかねません。
だからこそ、折れないための予防と、折れてしまったときの早い治療と回復、その両方が大切です。
骨粗しょう症の治療を続けることも、次の骨折を防ぐうえで欠かせません。

家族で取り組む、骨折予防

 骨と転倒の対策は、家族みんなで取り組むと、より効果的です。
とくに、離れて暮らす親の家では、次の点を気にかけてみましょう。

  • 家の中の危険をチェック:段差、滑りやすい床、暗い通路、めくれたマットなど、転倒のもとがないか
  • 手すりの設置を検討:階段、廊下、トイレ、浴室に。介護保険の住宅改修の補助が使える場合もあります
  • 食事を気にかける:カルシウム・ビタミンD・たんぱく質がとれているか
  • 一緒に散歩する:運動と日光浴を兼ねて。親子で歩けば、続けやすくもなります
  • 骨密度検査をすすめる:とくに閉経後の母親に、一度受けてもらうと安心です

「転んで、折って、寝たきり」の連鎖を防ぐことは、本人の暮らしを守るだけでなく、家族の安心にもつながります。

「骨を守る」と「転ばない」の両輪で

 大人世代の骨折は、寝たきりの入口にもなりかねません。
だからこそ、骨を強くし、そして転ばない——この両輪で守ることが大切です。

骨を守るのは、カルシウムとビタミンDを中心とした食事、骨に刺激を与える運動と日光浴、そして骨密度検査。
転ばないためには、家の中の段差・床・照明・足元の見直し。
どれも、今日から始められることばかりです。

「転んで、折って、動けなくなる」を防ぐ。
それは、これからも自分の足で歩き、行きたいところへ行くための、確かな備えです。
まずは一歩、散歩から始めてみませんか。

<参照>
厚生労働省「骨粗しょう症検診」(健康増進事業) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_kenshin.html
健康長寿ネット(公益財団法人 長寿科学振興財団)「骨粗鬆症予防の運動とは」(骨に刺激を与える運動)
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/undou-kotsusoshoushou.html
厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための運動・食事」(カルシウム・ビタミンDの目安、日光浴) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-001.html
公益財団法人 骨粗鬆症財団「食事と運動」(栄養摂取・予防)
https://iihone.jp/nutrition-exercise.html

キラビュー編集部

キラジェネのみなさんが、ワクワクする記事をお届けします!