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エンディングノートは何を書く?遺言書との違いと項目を整理

 「そろそろ、エンディングノートでも書いてみようかな」。
そう思っても、いざノートを前にすると、「何を書けばいいの?」「遺言書とは違うの?」
と、手が止まってしまう方は多いものです。

先に、大事なことをひとつ。
エンディングノートには、遺言書のような法的な効力はありません
でも、だからといって意味がないわけではない
——むしろ、遺された家族を、実務と気持ちの両面で大きく助けてくれるのが、エンディングノートです。

この記事では、エンディングノートと遺言書はどう違うのか、何を書けばいいのか、そして続けやすい書き方のコツまでを整理します。

完璧をめざさず、書けるところから、気楽に始めるためのヒントとしてお役立てください。

エンディングノートと遺言書は「役割が違う」

 まず押さえたいのが、エンディングノートと遺言書の違いです。
この2つは、似ているようで、役割がまったく違います

観点エンディングノート遺言書
法的効力ないある
書き方自由(決まりなし)厳格な決まりがある
書ける内容何でも(医療・介護の希望も)主に財産の分け方など
主な目的情報や思いを、家族に伝える財産の分け方を、法的に定める

遺言書は、財産を「誰に、どう分けるか」を、法的な効力をもって定めるもの。
そのぶん、書き方に厳しい決まりがあり、形式を外すと無効になってしまいます。

一方のエンディングノートは、法的な効力はありませんが、書き方も内容も自由

財産のありかから、医療や介護の希望、家族へのメッセージまで、遺言書には書けないことも自由に残せます。
つまり、「財産の分け方は遺言書」「そのほかの情報や思いはエンディングノート」と、役割で使い分けるのが理想です。
両方を用意しておくと、いちばん心強い備えになります。

エンディングノートに書きたい項目

 では、具体的に何を書けばいいのか。
決まりはありませんが、家族が「知らなくて困ること」を中心に据えると、書きやすくなります。
おおまかに、次のような項目です。

1. 自分自身のこと

本籍、これまでの経歴、持病やアレルギー、飲んでいる薬など。
もしものときに、家族や医療の場で役立ちます。

2. お金・資産のこと

預貯金のある銀行名、証券口座、保険、不動産、年金など。
「どこに、何があるか」が分かるだけで、家族の負担は大きく減ります(暗証番号など、そのものは書かないのが安全です)。

3. 医療・介護の希望

どんな治療を望むか、延命についての考え、介護が必要になったらどこで過ごしたいか。
判断できなくなったときに、家族が迷わずにすむ大切な情報です。

4. もしものときの連絡先

知らせてほしい親族・友人、加入している各種サービス、かかりつけ医など

5. お葬式・お墓の希望

どんな見送りを望むか、宗派、お墓のこと。
「本人はどうしたかったのか」で、家族が悩まずにすみます。

6. 家族へのメッセージ

感謝の言葉や、伝えておきたい思い。
これは、遺された人にとって、何よりの贈り物になります。

続けやすい書き方の3つのコツ

 エンディングノートで、いちばん多い「つまずき」は、「きちんと書こうとして、途中でやめてしまう」こと。
完璧をめざさないための、3つのコツをお伝えします。

コツ1:書けるところから書く

最初から順番に埋める必要はありません。
書きやすい項目から、飛ばし飛ばしで構いません。
連絡先だけ、財産のありかだけ、でも十分に役立ちます。

コツ2:えんぴつで、気楽に

一度書いたら終わり、ではありません。
気持ちや状況は変わるもの。
あとで書き直せるように、えんぴつで書くくらいの気楽さがちょうどよいでしょう。
市販のノートや、自治体が配る様式、パソコンで作ってもかまいません。

コツ3:定期的に見直す

財産や連絡先、気持ちは、時とともに変わります。
誕生日や年の初めなど、年に一度見直す日を決めておくと、いつも新しい状態に保てます。

書いたあとが、いちばん大事

 せっかく書いても、その存在を家族が知らなければ、役に立ちません
ここが、意外と見落とされがちなポイントです。

  • 保管場所を、信頼できる家族に伝えておく:「ここにあるからね」のひと言が、いざというとき効きます
  • わかりやすい場所にしまう:大切にしすぎて隠しすぎると、見つけてもらえません
  • 財産の分け方など、法的に確実にしたいことは、別に遺言書を:エンディングノートの希望だけでは、法的な拘束力はありません

エンディングノートは、「書いて終わり」ではなく、「家族に伝えて、はじめて完成」です。

忘れずに書きたい「デジタルの情報」

 近年、とくに大切になっているのが、デジタル関連の情報です。
スマホやパソコン、インターネット上のサービスは、本人しか分からないことが多く、遺された家族が困る「デジタル遺品」の問題が増えています。

  • スマホ・パソコンのロック解除:どうしても必要な場合に備え、扱いを考えておく(暗証番号そのものの書き方は慎重に)
  • 利用しているネットサービス:ネット銀行、ネット証券、各種の会員サービス、サブスクなど。契約の一覧があると、家族が解約や手続きをできます
  • SNS・メールのアカウント:どうしてほしいか(削除する、残すなど)の希望を書いておく
  • 有料サービスの支払い:気づかず支払いが続くのを防ぐため、契約を一覧に

デジタルの情報は、「どこに、何があるか」を家族が把握できないと、大きな負担になります
パスワードそのものは安全に管理しつつ、「どんなサービスを使っているか」の一覧だけでも残しておくと、いざというとき家族が動けます。

遺言書の種類を知っておく

 「財産の分け方を、法的に確実にしたい」なら、エンディングノートとは別に、遺言書が必要です。
主な種類を知っておきましょう。

  • 自筆証書遺言:自分で手書きする遺言書。手軽ですが、形式の不備で無効になるリスクも。
    法務局で保管してもらう制度を使えば、紛失や改ざんを防げ、家庭裁判所の「検認」も不要になります
  • 公正証書遺言:公証役場で、公証人に作ってもらう遺言書。
    費用はかかりますが、形式の不備がなく、確実で、検認も不要です

「うちは財産が少ないから」という家庭ほど、実は分けにくく、話し合いがこじれがちです。
エンディングノートに思いを書きつつ、財産の分け方は遺言書で法的に定めておくと、いちばん安心です。
作り方に迷ったら、司法書士や弁護士、公証役場に相談を。

「人生会議」で、医療・介護の希望を話す

 エンディングノートに書く「医療・介護の希望」は、家族と話し合っておくと、より生きてきます。
これを「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)」と呼びます。

もしものとき、自分で意思を伝えられなくなることもあります。
そんなとき、「どんな医療を望むか」「どこで過ごしたいか」を、家族やかかりつけ医と、あらかじめ話し合っておく。
書き残すだけでなく、話しておくことが、いざというとき、あなたの希望を尊重してもらう助けになります。
重い話ですが、「もしものときのために」と、折にふれて少しずつ話しておきましょう。

よくある質問(Q&A)

Q. エンディングノートは、いつから書けばいい?
A. 「まだ早い」と思う元気なうちが、いちばんの書きどきです。
判断力も体力もあるうちのほうが、落ち着いて書けます。
年齢に関係なく、思い立ったときに始めましょう。

Q. 市販のノートと、自分でつくるの、どちらがいい?
A. どちらでも構いません。
市販のエンディングノートや、自治体が配る様式は、項目が整理されていて書きやすいのが利点。
自由に書きたいなら、手持ちのノートやパソコンでも。
続けやすい方法を選びましょう。

Q. 財産のありかを書くのは、防犯上こわいです。
A. 銀行名や証券会社など「どこにあるか」は書いても、暗証番号やパスワードそのものは書かないのが安全です。
ノートの保管場所にも気を配り、信頼できる家族にだけ、ありかを伝えておきましょう。

Q. 書いた内容は、変えてもいいですか?
A. もちろんです。気持ちや状況は変わるもの。
えんぴつで書くくらいの気楽さで、年に一度など、定期的に見直して更新しましょう。
「一度書いたら終わり」ではありません。

Q. エンディングノートは、法的に有効ですか?
A. いいえ。エンディングノートには法的な効力はありません。
財産の分け方など、法的に確実にしたいことは、別に遺言書を用意する必要があります。
エンディングノートは、情報や思いを家族に伝えるためのものと考えましょう。

Q. 家族に見られたくないことも書いていい?
A. 内容は自由ですが、保管場所には気を配りましょう。
見られたくないことを書くなら、保管方法を工夫し、いざというときに必要な人にだけ伝わるようにしておくとよいでしょう。
無理に書く必要はなく、書けること・伝えたいことから、気楽に始めれば十分です。

Q. 独り暮らしですが、誰に伝えればいい?
A. 信頼できる親族や友人、あるいは成年後見人や、終活をサポートするサービスなどに、ノートの存在と保管場所を伝えておく方法があります。
地域包括支援センターに相談するのも一つです。
一人でも、備えておくことに大きな意味があります。

Q. 遺言書も書いたほうがいいですか?
A. 財産の分け方を法的に確実にしたいなら、遺言書がおすすめです。
とくに、法務局で保管できる自筆証書遺言や、公正証書遺言なら確実です。
エンディングノートで思いを、遺言書で法的なことを——役割で使い分けると、いちばん安心です。

終活全体の中の、エンディングノート

 エンディングノートは、「終活」全体の入口としても役立ちます。
終活とは、人生の終わりに向けた、さまざまな備えのこと。
エンディングノートを書き進めるうちに、自分に必要な備えが見えてきます。

  • 財産の整理:ノートに書くことで、自分の資産を把握できる。必要なら遺言書へ
  • もの・情報の整理(生前整理):ノートづくりと並行して、身のまわりを整える
  • 医療・介護の希望:人生会議として、家族と話しておく
  • お墓・お葬式:どんな見送りを望むか、考えるきっかけに
  • 人間関係の整理:伝えたい人、感謝したい人を思い出す

エンディングノートは、これらを一冊で見渡せる、終活の地図になります。
「何から始めればいいか分からない」という方は、まずエンディングノートを手に取り、書けるところから埋めていくと、自然に終活が進んでいきます。

書くときの心構え

 エンディングノートを書くうえで、心にとめておきたいことがあります。

  • 重く考えすぎない:「死の準備」と身構えず、「これからを気持ちよく過ごすための整理」と考える
  • 完璧を目指さない:全部埋める必要はありません。書けるところだけで、十分に役立ちます
  • 前向きな時間として:これまでを振り返り、大切なものを見つめ直す、豊かな時間でもあります
  • 家族への思いやりとして:あなたが書いておくことで、遺された家族の負担と迷いが、大きく減ります
  • 法的なことは専門家に:財産の分け方など、確実にしたいことは、遺言書や専門家の力を借りて

「縁起でもない」と避けるより、元気な今だからこそできる、前向きな備え
そう捉えて、気楽に一歩を踏み出してみてください。

完璧でなくていい。まず1ページから

 エンディングノートは、法的効力はないけれど、家族を実務と気持ちの両面で助けてくれる、やさしい備えです。
財産の分け方など法的に定めたいことは遺言書に、それ以外の情報や思いはエンディングノートに
——役割で使い分けるのが理想です。

書くのは、家族が「知らなくて困ること」から
完璧をめざさず、書けるところから、えんぴつで気楽に。
そして、書いたら保管場所を家族に伝えておくことを忘れずに。

エンディングノートを書くことは、人生の終わりの準備であると同時に、これまでを振り返り、これからをどう過ごしたいかを考える時間でもあります。
まずは1ページ、書きやすいところから始めてみませんか。

<参照>
政府広報オンライン「もしものときのために『終活』を」
https://www.gov-online.go.jp/
法務省「自筆証書遺言書保管制度」(遺言書の法的効力・保管制度)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00051.html
法務省「遺言書を作成する」(遺言書の種類と決まり)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00297.html
厚生労働省「『人生会議』してみませんか」(医療・介護の希望を話し合い、書き残す)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html

キラビュー編集部

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