食・スイーツ

料理研究家として約40年の学び|人生後半を心地よく生きる食と整え方

 料理研究家として約40年、仕事にプライベートにと奮闘してきた大瀬由生子先生。
キラジェネ世代が感じている食の悩みや考え方に耳を傾け、同世代ならではの視点で温かいアドバイスをくれました。

今回は「食」の話題を軸に、大瀬先生が歩みの中から見つけた「人生後半を心地よく生きるための学びと気づき」をお届けします。

60歳を過ぎたら「反省」はおしまい!
これからは自分のために生きる

 生まれてから60年以上、生きていればいろいろな出来事があるものですよね。

家庭のこと、仕事のこと、人間関係――
「ああすればよかった」「こうすればよかった」と、反省や後悔も数えきれないほど。

それでも、私たち、精一杯頑張ってきたのではないでしょうか。
幼かった子どもも社会人となり、自分の責任は自分で負えるようになりました。
ここまで、やってきました。
だからこそ!

「60歳を過ぎたら、残りの人生は自分のために生きていいんだと思うんです。もう、反省はおしまいにしていい! 食を通じて出会った人生の先輩方から学んだことでもあります」

(大瀬先生)

負のスパイラルにはまったら「まあ、いっか」で抜け出す

 同世代のシニアが「シンプルで丁寧な暮らしを実践中」なんていう情報を発信していると、憧れて「よし、私も」と思うこともあるのではないでしょうか。

でも、なんだか思うようにいかなくて、そんな自分にダメ出しをしてしまう……。

心が疲れると、体も元気をなくしてしまいます。

すると、「食欲が落ちる→食べない→必要な栄養がとれない→体が回復できない→心も回復しない」という負のスパイラルに……。

この負のスパイラルから抜け出すキーワードが「まあ、いっか」なのだと大瀬先生。

「人は人、自分は自分。どう頑張ってもできないことってありますよね。こればかりは、しかたがない。そんなときは“まあ、いっか”とつぶやいて前を向き、自分のために食べてください!」

(大瀬先生)

「自分のために食べる」……とてもはっとさせられる視点です。

便秘や不調は「食生活を見直そう」という体からのサイン

 食事の量が減って体に必要な栄養が補給できないと、腸の働きがにぶくなり便秘をしてしまいます。

「便秘は“食事内容を見直そう”というサイン。量は足りているか、腸のための発酵食品や水溶性食物繊維をとっているか、食生活を振り返ってみてくださいね」

(大瀬先生)

腸は消化吸収だけでなく、幸せホルモンともいわれる「セロトニン」の分泌にも関与する重要な器官です。

「便は、腸の状態を知らせてくれる貴重なバロメーター。かたさや形、におい、色に変化があったときも、食生活を見直すきっかけになります」

(大瀬先生)

調子のいいときの便の状態を把握しておくと、変化がつかみやすくなりますね!

便利な道具を自分の味方にして無理のない食生活

長年、食の世界に携わってきた大瀬先生。

和食や漬け物など、昔から伝えられてきた食のあり方も大切にしながら、現代に合わせた工夫も惜しみません。

例えば、ごはん。
土鍋で炊くとおいしい、でも時間はかかるし、そばを離れるわけにもいきません。

「そんな悩みを解決するために登場したのが、炊飯器です。無理せず、自分の快適な食生活のために、便利な道具はどんどん取り入れましょう」

(大瀬先生)

一方で、こんなアドバイスもしてくれました。

「便利そうだと思って買ったものの、使わない調理道具はありませんか? そういうものは“思い切って処分するとスッキリして、気持ちも楽になる”と人生の先輩に教わりました」

(大瀬先生)

自分に必要なもの、よく使うものだけを残す――
キッチンの断捨離も、自分の食を見直すきっかけになるのですね。

「私が元気でいること」が家族へのいちばんの思いやり

 家族や周りの人に余計な心配はかけたくない、誰もがそう思うもの。

「自分が元気でいれば、家族も周りも安心してくれますよね。その土台は体であり、体を作るのが毎日の“食”なんです」

(大瀬先生)

病気にならない体をつくることは、自分自身のためだけでなく、家族を安心させることにもつながるということ。
大瀬先生は、食の力で体調を改善させたこんな事例にも遭遇したそうです。

ファストフード三昧で糖尿病予備軍と診断された人が「食べ物を変えて治す」と決意、和食と野菜中心の食生活に切り替えて体重を落とし、予備軍から脱した。

「食の改善だけでなく運動も取り入れたと思うのですが、それでも、食べた物で体はつくられ、食べる物で変えていけることをあらためて感じた出来事でした」

(大瀬先生)

60歳を過ぎたら……

・もうあれこれと「反省」しない

・他人と比べず「まあ、いっか」で自分のために食べる

・不調や便秘は、体からの「食を見直して」のサインととらえる

・便利な道具も頼りながら、自分に合ったスタイルで暮らす

そう心がけて無理なく自分をいたわることが、キラキラ輝く秘訣。

そして自分が元気でいることこそが、周りや家族を安心させるいちばんの近道なのだと、大瀬先生のお話から学びました。
まずは今日の食事から、自分の体と心にやさしく向き合ってみませんか?

大瀬 由生子(おおせ ゆうこ)

一般社団法人日本糀文化協会代表理事・料理研究家。

日本の発酵文化、とりわけ糀の魅力を現代の暮らしへ伝える第一人者。発酵・食育をテーマに、行政・企業・教育機関での講演、料理指導、商品開発など幅広く活動している。イタリア、フランス、台湾など国内外で発酵講座を開催し、日本の発酵文化の普及にも力を注ぐ。

「教育に発酵を!」を理念に、保育園や小学校での味噌づくりや「こども和食検定」を通じて、次世代へ和食と発酵文化をつないでいる。

著書45冊以上(海外翻訳版多数)。
水産庁水産政策審議委員(2019~2023年)を歴任。
NHK「あさイチ」、Eテレ「小雪と発酵おばあちゃん」などテレビ出演も多数。
食と発酵文化を通して、人と地域、未来をつなぐ活動を続けている。

まつもと のぶこ

・大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスのライター&編集者
・マインドフルネススペシャリストのほか、アロマ、フラワーエッセンスなどセラピー系の資格あり
・娘ひとり、バツイチのキラジェネ
・好きなこと→ピアノを弾くこと、写真を撮ること、お芝居を見ること、本を読むこと