60歳を機に生き方を見直して、人生に新たなきらめきを見つける人が増えています。今回は、そんな11人の小さなストーリーをお届け。「何か新しいことを始めようかな?」――読んだ後、きっとそう思えるはずです。
※本記事は、2025年6月に実施した「60〜70代の生き方(ライフスタイル)に対する意識調査」43名(男女)へのアンケートをもとに構成しています。
60代は生き方やライフスタイル志向を変える分岐点
60〜70代の男女に「60代になってから生き方やライフスタイル志向に変化があったと感じますか?」と聞いたところ、77%の人から「はい」との回答がありました。その内容について、自由回答で書き込んでいただいたくと、さまざまなストーリーが寄せられました。今回はその中から11人のきらめく生き方をご紹介します。
新しいことを始めた2人のストーリー
やりたいことがあってもブレーキをかける自分がいました。
現状維持が楽で冒険をすることがなかったからです。
定年退職の2年前に乳がんになったことが死を考えるきっかけになって、
生きている間に好きなことをしたいと思うようになりました。
いまは会社を辞めて、自分のエステサロンをオープンしました。
(わかぽん、61歳女性、東京都)
ラジオパーソナリティ、モデル、演劇に挑戦してレッスンしています。
看護師の仕事もしながら、いろんな方々と知り合い、友達が増えました。
充実していて、家のお掃除が追いつかないくらいです。
(A.Y、63歳女性、大阪府)
大人にとって何か新しいことを始めるのは、意外とハードルが高いもの。「はずかしい」「自分がこんなことをやるなんて」という思いがあるからにほかなりません。けれど、“エイヤ”っと一歩踏み出してみると、人とのつながりやこれまでと違うよろこびが待っています。そして新しい自分に出会うこともできます。そんな人は周りから見ても、輝いて見えるに違いありません。
自分にフォーカスした生き方を選んだ3人のストーリー
50代は子育てで自分のやりたいことは後回しにしていました。
身内の死があり、人生には終わりが来ることを改めて感じたため、
60代になってからは時間もできてやりたいことをやろうと考えるようになり、
やってみたかった演技の勉強を始めました。
(えみやん、65歳女性、大阪府)
介護していた母が他界して、心にぽっかり穴があいたので、
ボイストレーニングや若い頃にしていた着物ファッションショーに出ました。
少しずつ自分の時間ができてきたので自分磨きをしたいです。
(しなちゃん、63歳女性、神奈川県)
自分より家族を優先していましたが、主人の定年と孫たちの成長をきっかけに、
自分のために時間を使おうと思うようになりました。
なので、出かける時、主人の食事の用意はしません。
(ぴのこ、68歳女性、千葉県)
50代までは家族に尽くしたり、仕事に打ち込んだりして、自分の時間がとれないケースは多いものです。60代になって時間ができたのを機に自分にフォーカスすると、初めて見つかるキラキラがあるもの。そう考えると、60歳以降の時間は、人生のごほうびなのかもしれません。
シンプルライフを歩き始めた2人のストーリー
欲を断捨離しました。
自身を明確に知ることができ今後の人生に必要か不必要かを判別すると、
おのずとライフスタイルも変わって来ました。
手に入れたい目標が一つになり、気持ちが楽になり周りの評判が気にならなくなりました。
めっちゃ楽に生きられる気がします。
(M.F、66歳男性、東京都)
量を増やしてお腹いっぱいではなく、
質を高めて心を満たしたいと思った事がきっかけで断捨離を決行。
シンプル志向が高まりました。
(SALAKO、63歳女性、神奈川県)
60歳を機に断捨離をして、身の周りや気持ちをすっきりさせてシンプルライフを実践している人もいました。60年以上生きていると、知識や経験が積み重ねられる一方で、自身にも周囲にも無駄なものがあることに気づきます。しかし、それを削ぎ落としていくと、ライフスタイルも心も身軽になり、以前よりも吸収力豊かになるはずです。
生活のベースや生き方をまるごとシフトした4人のストーリー
50代は仕事優先だったものを60代になり趣味を優先してスポーツや音楽に励み、
新たに旅行や園芸、DIYにも挑戦しています。
また、妻の会社の手伝いもしつつ主夫も兼ねた毎日を過ごしています。
現役時代の家庭を顧みずに過ごしてきた反省と、
自分の好きな事に割く時間が限られていたことから、開放感があります。
定年後、暮らしながら旅をし、海を中心とした生活が多くなりました。
旅先では、妻はワーケーションを基本にリモートで仕事をしているので、その手伝いもやっています。(ivy55、66歳男性、大阪府)
50代で離婚しました。今は自由を満喫して自分らしく生きています。
最近、婚活を始めたこと、両親のこともあり、今は都内から一時的に実家にいます。
ずっと家族のための人生から、独りになって、生活だけでなく考え方も変わりました。
(サナ、61歳女性、大分県)
50代までは一人暮らしを謳歌。仕事も趣味も自分のやりたいことができました。
50代の終わり頃から両親の介護のため同居を選びました。
老両親の最期を看とるまで二人を見守るという覚悟を持ったことが心境に大きな変化をもたらしました。
そんな60歳のとき、ガンが発覚しコロナの時期と重なりました。
ガンの治療、コロナ対策、老いた両親の介護と、地に足をつけた生活なしにはいられない日々が始まっています。
(S.K、64歳女性、神奈川県)
還暦を迎える年の1月1日に我が子から新年の挨拶の他
「ママ、今年還暦じゃん!昔だったら死んでたね」と言われたことがきっかけで、
今まで以上に吹っ切れました。
明日死ぬかもしれないのなら、悔いなく楽しく生きていこうかと!
夫と死別しているので、我が子は私の唯一の理解者です。
新しい出会いのため、マッチングアプリに登録しました。
(グランマミッキー、64歳女性、千葉県)
生活のベースや生き方をまるごとシフトして、人生を新たにしている人もいました。定年、離婚、両親との同居ときっかけはさまざまですが、覚悟を持っているのが共通点でした。その潔さが次なる人生を切り拓きます。覚悟を決めた人の歩く道はまっすぐに伸びていくでしょう。
60代で生き方を変えた人は、自分の意志に基づいた人もいれば、まわりの環境や体調にしたがって決断をした人もいました。いずれにしても、自身で行動を起こした瞬間に新しいストーリーが始まります。次はあなたが新しい一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
今回のアンケート調査概要:
調査期間:2025年6月
調査方法:Webアンケート
調査対象:全国の60〜70代の男女43名
岡本のぞみ
食やワイン、美容、旅の分野を中心に執筆。女性の視点を活かして、キラキラと輝くヒントを文章で届けている。ワインエキスパートを取得し、40代からレストランのソムリエとしても勤務。前向きな挑戦を続けている。