60代になって手放したもの、取り入れたもの――ブランド品を捨てて、その後購入したものとは?

記事 / コラム

何を選ぶかで未来は変わってくるもの。60歳になってライフスタイルが変わると、手放すものと、取り入れるものは変わってきて当然です。いまを生きる現代の60代が手放したものの1位は「ブランド品」でした。代わりに取り入れたものを聞くと、新時代の60代の価値観が見えてきました。

60代の男女43人に「60代になって手放したもの、買わなくなったものはなんですか?」と聞いたところ、最も多かった回答は「ブランド品」でした。そのほかにも、手放したものを傾向別にまとめると次のような結果になりました。

Q.1 60代になって手放したもの、買わなくなったものはなんですか?

物質的な豊かさを感じるもの
 ・ブランド品(洋服、バッグ、靴)
 ・テレビ・家具
 ・宝石
 ・高い化粧品
 ・着物

「物欲は本当に無くなりました。特にブランド品や貴金属。バブル世代なので20代の頃は結構使ってました」(グランマミッキー、64歳女性、千葉県)との回答があるように物質的な豊かさを感じるものを手放した人が多くいました。

いまの生活に必要ないもの
 ・おやつ
 ・着なくなった洋服
 ・書類、本
 ・雑貨

暮らしのサイズを小さくして不要になったもの
 ・一戸建て
 ・ストック品

好みではなくなったもの
 ・ピンクのもの

回答のなかに「断捨離をして必要以外の物は買わなくなった」(はなまる、61歳女性、福島県)というコメントがあったように、断捨離をする人もいるようです。断捨離するときは、3つのポイント「いまの生活に必要のないもの」「暮らしのサイズを小さくして不要になったもの」「好みではなくなったもの」を基準にしてみてもよいでしょう。

60代になって手放したものがある一方で、何を買うようになったかは気になるものです。「逆に買うようになったもの、お金をかけるようになったもの」を聞いたところ、圧倒的に目についたのは、「食事」「美容・健康を意識したもの」でした。そのほか、買うようになったものを傾向別にまとめると次のような結果になりました。

Q.2 60代になって逆に買うようになったもの、お金をかけるようになったものはなんですか?

食事
 ・食料品、健康的な食べ物
 ・体に良い食品、飲料
 ・外食

美容や健康を意識したもの
 ・美容院、スキンケア
 ・ボディを整える補正下着
 ・ピラティスマシーン
 ・サプリメント、健康食品

お金をかけるものとして多くの回答を集めたのが「食事」。その内容を見ると、単に食費にお金をかけるというより「健康的な食」に重点を置いていることがわかります。その次に目立った回答が「美容や健康を意識したもの」。美容院、補正下着など内容はそれぞれですが、自分の美容や健康にフォーカスしていることがわかります。

自分をランクアップさせるもの
 ・ボイストレーニングなどのレッスン

暮らしを快適にするもの
 ・上質の寝具、毎日の日常品や食事
 ・各部屋のエアコン設備
 ・ガーデニングに使用する植物

趣味
 ・ゴルフレッスン費、ウイスキーコレクション
 ・良質なお酒、バーに通う
 ・ゴルフのラウンド回数と乗馬関連の装着部材

旅行
 ・少しの遠出
 ・神社を中心にした旅行

そのほかの回答をみても、自分自身や自分の暮らしをちょっと良くしてくれるものにお金をかけたいという意志が見えてきます。ちなみに趣味の回答はすべて男性のものでした。男性のほうが趣味にお金をかけたい傾向にありました。

60代になってお金をかけるようになったものは商品ばかりではなく、いろいろなサービスもあげられます。そこで多くみられたのは、「ネット通販」「映画」があり、続いて「エステ・マッサージ」でした。

Q.3 60代になってから利用するようになったサービスはなんですか?

宅配や通販サービス
 ・宅配
 ・ネット通販
 ・Amazonプライム
 ・パルシステム、オイシックスなど
 ・宅配定期便
 ・宅配食事サービス

エンタメ
 ・映画
 ・Amazonプライム(ビデオ)
 ・SNS

エステ、マッサージ
 ・エステ
 ・整骨院でのマッサージ

「宅配や通販サービス」を利用するようになったという人はかなりの数が占めました。いまやスーパーもネット注文して配送してくれるサービスもありますし、食事の宅配サービスは世帯人数が少ない家庭には助かります。宅配がセットになっていると割高に思うかもしれませんが、時短にもなりますし無駄な買い物をしなくなるという意味では節約になります。

また、「映画」を観るようになった人も多くいました。60代以上を対象に1,300円程度で映画鑑賞できる割引サービスを上手に活用しているからだと思われます。エステやマッサージで自分を癒すサービスにお金をかけているという人もいました。

60代になって、ブランド品や宝石、着なくなった洋服を手放した後に、取り入れたものは健康的な食事や美容、さらに便利なネットサービスや映画鑑賞でした。いまの60代前半世代はバブル世代に当たり、若いころはブランド志向も強く、物質的な豊かさを謳歌してきました。

ブランド品は成熟した世代が持ってこそ輝く持ち物でもありますが、キラビュー世代はそれを持ち続けることよりも手放すことを選んだのです。

そして「自分がブランド」とばかりに、自分に手をかけて健康的な食事や美容を追求する人生を歩んでいます。若い頃、ブランドのファッションや上質なインテリアに囲まれて生きてきたからこそ、もう自分たちにそれは必要ないことがわかったのだと思います。むしろ知性や経験をたくわえたいま、自分に手をかけて自分を満たしたほうが輝ける人生になり、それが新しい自分の価値だと気づいているのでしょう。

このスマートなものの選び方こそ、新時代の60代を象徴する価値観。ますます自分にフォーカスしてかっこいい人生を歩んでくれるに違いありません。

(ライター)

岡本のぞみ
食やワイン、美容、旅の分野を中心に執筆。女性の視点を活かして、キラキラと輝くヒントを文章で届けている。ワインエキスパートを取得し、40代からレストランのソムリエとしても勤務。前向きな挑戦を続けている。