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【後編】「やってみなきゃわからない」——徳永友一が『サバ缶、宇宙へ行く』に込めた、すべての大人へのエール

 前編に引き続き、脚本家・徳永友一さんのインタビューをお届け!

 取材を通じて、「やってみなきゃ、わからない」という言葉が何度も登場しました。それはドラマから発信されるメッセージであり、同時に、日々の忙しさの中で「もう歳だから」「今さらやっても」とブレーキをかけてしまいがちな、すべての大人への静かなエールでもあります。脚本家20年の節目に、徳永さんが今この作品に込めた思いとは?

イマドキの学園ドラマとは

——今、学園ドラマを制作する意味を、どう捉えていますか?

「監督やプロデューサーと打ち合わせをした時に、『今の若者ってどうなんだろう』という話をたくさんしました。時代は変わっても、『結局はとにかく楽しく日常を過ごしたいと思っているじゃないか』と」

——今の若者たちを見ていて、自分の世代との違いを感じることはありますか?

「中学生の子どもがいるんですが、意外と自分の世代と大差ないなと思うんですよ。ゲームに熱中したり、部活に夢中になったり。ただ、ひとつ違うのは、情報が多すぎることで『やった気』になってしまうこと。ネットで調べて、なんとなく『これは自分には無理だ』と先回りして、やる前から諦めてしまう。それは幸か不幸か、今の若者たちが抱えている課題だなと思っています」か、今の子たちが抱えている課題だなと思って見ています」

——それがこのドラマのメッセージにもつながっているわけですね。

「そうです。だから1話の段階から、『やってみなきゃ、わからない』というのを入れたかった。失敗してもいい、やってみて初めて楽しいかどうかがわかる。今の若者たちへのメッセージとして届けたかったし、実はそれは、大人にも同じように刺さる言葉だと思っています。忙しいからとか、今さらとか言って、目をつぶって見ないようにしている。でも楽しさは、何かをやらないと得られないと思います」

脚本家人生20年の集大成

——本作を書いてみて、改めて気づいた面白さはありましたか?

「学園ドラマ以外のジャンルだと、誰かが何かを学ぶ場面を描くと説教くさくなってしまうんです。だから巧みに伝えたいセリフを忍ばせないといけない。でも学校が舞台の作品だと、視聴者がドラマを『学ぶ場所』として受け入れてくれている。だからド直球に言えるんですよ、自分の思いを。今、感じていることを、主人公や生徒の言葉を借りて正面から伝えられる。脚本家はこういう仕事だよなと、改めて実感しました。学園ドラマは、そういう意味でお得なパッケージです(笑)」

——脚本家20年の節目の作品でもありますね。今の自分だからこそできると感じることはありますか?

「昔覚えたテクニックを引っ張り出しながら、流行りのドラマを研究して、自分なりに料理して出す。そういうことが、今、いちばんうまくできている気がします。今年の10月で50歳になるんですが、20年の節目と40代の集大成として、いろんな思いをこの作品にぶつけています」

卒業してもキャラクターは生き続ける

(C)フジテレビ

——キャラクターが(高校生活の)3年ごとに入れ替わるなかで、生徒たちを均一に描いたと聞きました。

「原案の著者のひとりで、実際に宇宙食を開発した高校生たちと向き合ってきた小坂(康之)先生は『生徒たちが頑張ったんです、私は何もしていません』という立ち位置を大事にされた方なので、それを自分も受け継ごうと。だから、誰か一人のものすごい手柄があったから物語が進んだとかにはしていません。みんながすごかった。構造上、ひとつの代でフォーカスを当てられる生徒は3〜5人程度なので、結果的に均一に書きやすいという面もあります」

——愛着が湧いた頃に卒業してしまうのは、書く側としても切ないですよね。

「切ないです(笑)。でもこのドラマは卒業後も卒業生として顔を出せる。それは楽しいです。卒業して終わりではなく、キャラクターがずっと生き続けられるんです」

大人にこそ届けたいメッセージ

——このドラマを観て、大人世代の読者に何を感じてもらいたいですか?

「美容でも、ジムでも、散歩でもいい。せっかく生きているんだから楽しもうよ、というシンプルなメッセージを届けたいです。高校生が宇宙食開発を目指している姿を見て、『高校生でこんなことができるんだから、大人の自分だってやればできる』と感じてもらえたら最高です。ドラマの高校生たちと同世代の方にも、今頑張っている大人世代の視聴者の皆さんにも響くドラマだと思います。ぜひご覧ください!」

キラジェネになったとき、見たい映画は?

「『ショーシャンクの空に』をもう一回見たいですね。20代の頃に見たきりで。60代になった時に見たら、また全然違う景色が見えると思う。諦めない希望が詰まっている映画だから、そういうものをまた見たくなるんじゃないかな」

バトンは、今、私たちに

日々の忙しさの中で、いつの間にか新しいことへの一歩を踏み出せなくなってしまう。そんな経験は、きっと多くの方に覚えがあるのではないでしょうか。

このドラマは高校生たちの奮闘を通じて、私たちに「まだ遅くない、やってみよう」と背中をそっと押してくれるはず。

さあ、バトンは今、テレビの前の私たちに渡ってきました!

ぜひ一緒に、この夢のリレーを見届けてみてください。

徳永 友一

1976年生まれ、神奈川県出身。獨協大学法学部法律学科卒業後、総合人材サービス会社に7年間勤務。 その傍ら脚本を学び、2005年、フジテレビ系ドラマ『電車男』第6話で地上波デビュー。以来、コメディ、サスペンス、ホームドラマとジャンルを問わず多数の作品を手がける。

2019年より映画界にも進出。同年、映画初作品となる『翔んで埼玉』で第43回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。その後も『かぐや様は告らせたい』『はたらく細胞』など話題作の脚本を次々と担当。スピード感ある構成とコメディを得意とし、キャラクター作りを創作の核に置く。 日本脚本家連盟スクールでは、講師も務めている。

番組情報

■タイトル
『サバ缶、宇宙へ行く』

■放送日
4月13日スタート
毎週月曜 21時~21時54分

■出演
北村匠海 出口夏希 黒崎煌代 ・ 八嶋智人 三宅弘城 村川絵梨 ソニン 迫田孝也 鈴木浩介  荒川良々 / 神木隆之介 他
語り 井上芳雄

■原案
『さばの缶づめ、宇宙へいく』(小坂康之、林公代/イースト・プレス)

■脚本
徳永友一
(映画『はたらく細胞』、映画『翔んで埼玉』シリーズ、『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』、『ルパンの娘』シリーズ、他)

■音楽
眞鍋昭大
(『嘘解きレトリック』、『PICU 小児集中治療室』、他)

■スタッフ

<演出>
鈴木雅之
(『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』、『ラジエーションハウス』シリーズ、『HERO』シリーズ、他)

西岡和宏
(『新東京水上警察』、『続・続・最後から二番目の恋』、『風間公親 教場0』、他)

髙橋洋人(オフィスクレッシェンド)
(『ホンノウスイッチ』、映画『おとななじみ』、他)

<プロデュース>
石井浩二
(『それでも、生きてゆく』、『若者たち2014』、他)

<プロデューサー>
野田悠介
(『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』、『新宿野戦病院』、『ナイト・ドクター』、他)

中沢 晋(オフィスクレッシェンド)
(『119エマージェンシーコール』、『マルス―ゼロの革命―』、他)

■制作協力
オフィスクレッシェンド

■制作著作
フジテレビジョン

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