
夜、布団に入ってもなかなか寝つけない。あるいは、早く目が覚めてしまう。
年齢を重ねると、そんな夜が少しずつ増えてきた——そう感じている方は、きっと少なくないはずです。
でも、それはあなたの心がけが足りないからではありません。
眠りのリズムは、年月とともに自然に姿を変えていくものなのです。
大切なのは、変わっていくリズムに逆らうことではなく、そっと寄り添うこと。
とりわけ効いてくるのが、眠りに向かう「寝る前の1時間」の過ごし方です。
この静かなひとときを味方につければ、朝の目覚めはぐんと軽やかになります。
今夜からできる、夜のルーティンをご一緒に整えていきましょう。
眠りのリズムは年月とともに変わる
若い頃と同じようには眠れない。それはごく自然な体の変化です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、年齢を重ねた世代について、必要な睡眠時間の長さよりも、寝床で過ごす時間の長さに目を向けるようすすめています。
目安は、寝床にいる時間が8時間を超えないようにすること。
「もっと長く眠らなくては」と寝床にとどまる時間を延ばすほど、かえって眠りが浅く感じられることもあります。
眠くなってから床につき、朝は自然に起きる。
この素直なリズムこそ、心地よい眠りへの近道です。
光をゆるめて体に夜を知らせる
眠りを誘うカギを握るのが、メラトニンというホルモンです。
このメラトニンは、就寝のおよそ2時間前から少しずつ分泌が始まります。
ところが、そのタイミングで明るい照明やスマートフォンの強い光を浴びると、分泌が抑えられ、寝つきが遠のいてしまうことが知られています。
そこでおすすめしたいのが、夜だけの「光の切りかえ」。
寝る1時間ほど前になったら、天井のあかりを消して、間接照明や小さなランプに切りかえてみてください。
オレンジ色のやわらかな光は、体に「もうすぐ夜ですよ」とやさしく伝えてくれます。
「人生100年時代、健康に気をつけて色々楽しみたい」
——そんな前向きな毎日の土台こそ、質のよい眠りなのかもしれません。
飲み物と入浴で体温をゆるやかに
寝る前の飲み物にも、ちょっとした心づかいを。
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインには目を覚ます働きがあり、敏感な方は就寝の5〜6時間前から控えるのがよいとされています。
夕方以降は、白湯やカフェインの入っていないお茶に切りかえると安心です。
入浴のタイミングも眠りを左右します。
e-ヘルスネットによれば、寝つきをよくするなら就寝の2〜3時間前の入浴が理想的。
38度ほどのぬるめのお湯に25〜30分ほどつかると、いったん上がった体温が下がっていく流れが、自然な眠気を運んでくれます。
編集部おすすめ・今夜からの夜ルーティン

具体的に、寝る前1時間の流れをこんなふうに組み立ててみませんか。
・就寝60分前
天井の照明を消し、間接照明かランプへ。
テレビやスマホの画面もここでひと区切りに。
・就寝90〜120分前(可能なら)
38度のお湯に25〜30分の入浴。
難しい日は、足首まで浸ける10分ほどの足湯でも十分です。
・夕方以降
カフェインは卒業。
飲むなら白湯か麦茶を1杯。
・就寝前
寝室は少しひんやりする18〜20度前後、湿度は50〜60%を目安に。
軽いストレッチや深い呼吸を3分ほど添えると、体の力がすっと抜けていきます。
・翌朝
起きたらまずカーテンを開けて朝の光を浴びる。
これが夜のメラトニンをしっかり育て、翌晩の眠りを整えてくれます。
「毎日の散歩とジム通いで体を動かしている」
という方なら、その運動を夕方に持ってくるのもおすすめ。
日中しっかり動いた体は、夜になると自然と休息を求めてくれます。
眠りは自分をいたわる時間
眠りを整えることは、明日の自分をやさしく迎える準備でもあります。
寝る前の1時間を、あわただしい一日から静かな夜へと橋渡しするひとときと考えてみてください。
照明をひとつ落とす、湯船にゆっくり浸かる。その小さな習慣の積み重ねが、朝の心地よさとなって返ってきます。
完璧を目指さなくて大丈夫。
今夜できることを、ひとつだけ。自分らしい夜の過ごし方を、少しずつ育てていきましょう。
<参照>
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html
健康づくりのための睡眠ガイド(2023)高齢者の睡眠
https://sleep1.jp/sleep_guides_no4/




