
「掃除機をかけているから運動になっている」
「駅まで歩いているから大丈夫」
——気持ちはわかりますが、“ながら”では届かないものがあるというのが、今日の話です。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」には、10年ぶりの改訂で新しい項目が加わりました。
筋力トレーニングを、週に2〜3日。
歩くこと(有酸素運動)とは別に、筋肉に負荷をかける時間が推奨されたのです。
筋トレというと身構えますが、必要なのは1回5分。
しかも道具もいりません。
なぜ「歩く」だけでは足りないのか
歩くことは、心臓や血管、そして気分にとって、とてもいい運動です。
ただ、歩行で使う筋肉は限られています。
とくに衰えやすいのが、太ももの前側と、おしり。
立ち上がる、階段を上る、転びそうになって踏みとどまる。
——この「ここぞ」の場面で働くのが、この2つです。
行きたい場所へ自分の足で行き続けるために、鍛えておきたいのは、まさにここ!
5分メニューはこの3つだけ
道具なし、床に寝転がる必要もなし。
椅子と壁があれば足ります。
- 椅子スクワット(10回×2セット):椅子の前に立ち、おしりを後ろに引きながら、座面に触れる直前で立ち上がる。
ゆっくり4秒で下ろし、2秒で上げる - かかと上げ(15回×2セット):壁に手をついて、かかとをゆっくり上げ下げ。
ふくらはぎは「第二の心臓」です - 壁腕立て(10回×2セット):壁に手をついて、体をななめにしたまま腕立て伏せ。
膝つきの床腕立てより安全です
合計でおよそ5分。
きつければ回数を減らして構いません。
大事なのは、回数より「ゆっくり動かすこと」。
勢いをつけると、筋肉ではなく関節に負担がかかります。
週2回は曜日を決めてしまう
続けるコツは、意志ではなく仕組みです。
「火曜と金曜の朝、歯みがきのあとに5分」
——このくらい具体的に決めてしまいましょう。
筋肉は、使ったあとに休むことで育ちます。
毎日やる必要はありません。
むしろ、間を1日以上あけたほうが効率がいい。
週2回でいい、というのは、なまけではなく合理なのです。
「身体を鍛える。私の場合は、毎日の散歩と、ジム通い」
という方もいれば、家の中だけで十分という方もいます。
大切なのは、自分の暮らしに埋め込めるかどうか。
「ちょっとつらい」が効いている合図

強さの目安は、10回終えたときに「あと2〜3回ならできそう」と感じるくらい。
楽々こなせるなら、下ろす動作をもっとゆっくりに。
つらすぎるなら、椅子の座面を高くして浅くしゃがむ。
痛みが出たら、その日はやめる。
痛みは、がんばりの証ではなく、中止の合図です。
膝や腰に持病のある方は、始める前にかかりつけ医に一言相談を。
火曜と金曜の5分を自分に
歩く習慣に、週2回の5分を足すだけ。
それだけで、10年後に自分の足で出かけられる可能性が、確実に上がります。
今週の火曜日、椅子の前に立ってみませんか。
<参照>
「からだ・ヘルスケアに関する読者アンケート」(読者の声)
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(成人への筋力トレーニング週2〜3日の推奨) https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf
厚生労働省 e-ヘルスネット「情報シート:筋力トレーニングについて」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-005.html




