
体の調子が悪いとき、「どこの病院に行けばいいのか」「大きな病院に行くべきか」と迷った経験はありませんか。
そんなとき、「まずはあの先生に相談しよう」と思える医師がいると、どれほど心強いことでしょう。
それが、かかりつけ医です。
かかりつけ医とは、日ごろの健康状態を分かってくれていて、体の不調や健康の相談に、いちばん最初に乗ってくれる身近な医師のこと。
年齢を重ね、体の心配ごとが増えてくる大人世代にとって、信頼できるかかりつけ医を持つことは、大きな安心につながります。
この記事では、かかりつけ医の役割、なぜ必要なのか、そして自分に合う医師の見つけ方から上手な付き合い方まで、網羅的にお伝えします。
かかりつけ医とは、どんな存在か
かかりつけ医とは、あなたの体のことを継続的に診てくれる、身近な「かかりつけ」の医師です。
多くは、近所の診療所(クリニック)の医師です。専門的な高度医療を担う大病院とは、役割が違います。
かかりつけ医の役割は、大きく次のようなものです。
- 日ごろの健康を継続して診る:持病の管理、血圧や血糖の経過など、あなたの体の「いつもの状態」を知っている
- 体の不調の最初の相談窓口になる:「これは様子を見ていいのか、受診すべきか」を判断してくれる
- 専門医・大病院へ橋渡しする:詳しい検査や専門的な治療が必要なときは、適切な医療機関を紹介してくれる
- 健康や生活の相談に乗る:薬のこと、生活習慣、ちょっとした不安まで、幅広く相談できる
つまり、かかりつけ医は、あなたの健康の「総合窓口」であり、水先案内人。
体のことで迷ったとき、最初に頼れる存在です。
なぜ、かかりつけ医が必要なのか
「大きい病院のほうが安心では?」と思う方もいるかもしれません。
でも、かかりつけ医を持つことには、大病院にはないメリットがあります。
あなたの全体を診てくれる
大病院は臓器や病気ごとに専門が分かれています。
一方、かかりつけ医は、あなたの体全体、そして生活背景まで含めて診てくれます。
複数の不調があるとき、「体全体でどうか」を見てもらえるのは大きな安心です。
「いつもと違う」に気づける
継続して診てもらっていると、医師があなたの「いつもの状態」を知っているため、わずかな変化にも気づきやすくなります。
これが、病気の早期発見につながります。
迷ったときの判断を助けてくれる
「この症状は受診すべき?」「どの科に行けばいい?」と迷ったとき、まず相談できる相手がいるのは心強いもの。
むだな受診や、逆に手遅れを防げます。
大病院を適切に使える
いきなり大病院に行くより、かかりつけ医の紹介状があるほうがスムーズです。
紹介状なしで大病院を受診すると、追加の費用がかかることもあります。
自分に合うかかりつけ医の見つけ方

では、どうやって探せばよいのでしょう。次のような視点で選ぶとよいでしょう。
- 通いやすい場所にあるか:継続して通うものだから、家から近い、通いやすいことは大切な条件です
- 話しやすい・相性がよいか:質問しやすく、こちらの話をよく聞いてくれる医師だと、長く付き合えます
- 説明が分かりやすいか:病気や治療について、こちらが分かる言葉でていねいに説明してくれるか
- 評判・口コミ:近所の人の評判や、地域での評価も参考になります。ただし、最後は自分との相性です
- 必要な診療科か:内科を中心に、幅広く診てくれる「かかりつけ」向きの診療所が探しやすいでしょう
- 在宅医療や連携に対応しているか:将来、通院が難しくなったときの往診や、他の医療機関との連携も確認できると安心です
まずは、健康診断や、ちょっとした風邪などの機会に、近所の診療所を訪ねてみるのがよいでしょう。
何度か通ううちに、「この先生なら」と思える医師が見つかるはずです。
良い医師を見分けるポイント
実際に受診してみて、次のような点があるか見てみましょう。
- こちらの話を、さえぎらずに聞いてくれる
- 病気や治療を、分かりやすく説明してくれる
- こちらの質問や不安に、ていねいに答えてくれる
- 薬や検査について、必要性や理由を説明してくれる
- 必要なときは、専門医や大病院を適切に紹介してくれる
- 生活習慣など、病気の背景にも目を向けてくれる
「なんでも薬を出して終わり」「質問しにくい」と感じるなら、別の医師を探してもよいのです。
かかりつけ医は、長く付き合う相手。相性を大切にしましょう。
かかりつけ医との、上手な付き合い方
良いかかりつけ医が見つかったら、上手に付き合うことで、より力になってもらえます。
- お薬手帳を活用する:飲んでいる薬をすべて把握してもらうため、お薬手帳は一冊にまとめて持参を。
複数の病院にかかっている場合、飲み合わせのチェックにも役立ちます - 症状はメモして伝える:「いつから」「どんなふうに」「どの程度」を、事前にメモしておくと、短い診察時間でも的確に伝えられます
- 遠慮せず質問する:分からないこと、不安なことは、遠慮なく聞きましょう。
「こんなこと聞いていいのかな」と思うことこそ、聞く価値があります - 持病や生活の変化を伝える:体調だけでなく、生活の変化や気になることも共有すると、より的確なアドバイスがもらえます
- 健康診断の結果を共有する:検診結果を持参すると、経過を一緒に見てもらえます
専門医・大病院との使い分け
かかりつけ医を持ったうえで、専門的な検査や治療が必要なときは、かかりつけ医から専門医・大病院へつないでもらうのが基本です。この流れを知っておくと、医療を上手に使えます。
- まずはかかりつけ医に相談→ 必要なら紹介状をもらって専門医・大病院へ
- 大病院での治療が一段落したら→ 日常の管理はかかりつけ医に戻る、という連携も
- 将来、通院が難しくなったら→ 在宅医療(往診)に対応してくれるかかりつけ医だと、住み慣れた家で医療を受けられます
かかりつけ医と専門医、それぞれの役割を生かして使い分けることが、安心できる医療への近道です。
健康診断・検診も、かかりつけ医と
かかりつけ医は、病気のときだけでなく、病気を防ぎ、早く見つけるためにも力になってくれます。
その中心が、健康診断やがん検診です。
- 結果を継続して見てもらう:健康診断の結果をかかりつけ医に見せると、去年との比較や、注意すべき変化を教えてもらえます。
数値の意味が分からなくても、かかりつけ医が解説してくれます - 必要な検査をすすめてもらう:年齢や体の状態に応じて、受けたほうがよい検診(がん検診など)を教えてもらえます
- 気になる数値の相談:「血圧が高め」「血糖値が気になる」といった段階で相談すれば、生活習慣の見直しなど、早めの対策ができます
検査を受けっぱなしにせず、かかりつけ医と一緒に結果を生かす。
これが、病気の予防と早期発見につながります。
家族とも、医療の情報を共有する
かかりつけ医に関する情報は、家族とも共有しておくと、いざというときに役立ちます。
- かかりつけ医の連絡先を、家族が分かるように:急に体調を崩したとき、家族がすぐ連絡できるように
- 持病や飲んでいる薬を共有:お薬手帳の場所を家族に伝えておく。救急のときに、大切な情報になります
- どんな医療を望むかも話しておく:もしものときにどう過ごしたいか、家族やかかりつけ医と話しておくと、いざというとき、あなたの意思が尊重されやすくなります
「自分のことは自分だけが知っている」状態は、いざというときに困ります。
かかりつけ医・家族・自分の三者で情報を共有しておくことが、安心につながります。
かかりつけ薬局・薬剤師も、心強い味方
かかりつけ医と合わせて持っておきたいのが、かかりつけ薬局(かかりつけ薬剤師)です。
いつも同じ薬局で薬を受け取ると、次のようなメリットがあります。
- 飲み合わせをチェックしてもらえる:複数の病院にかかっていても、一つの薬局でまとめれば、薬の重複や、危険な飲み合わせを防げます
- 薬の相談ができる:飲み方、副作用、市販薬との併用など、気になることを相談できます
- お薬手帳を一元管理:一冊にまとめておけば、どこにかかっても情報が共有できます
- 体調の相談窓口にも:ちょっとした不調のとき、受診すべきかどうかの相談にも乗ってくれます
医師と薬剤師、両方の「かかりつけ」を持つことで、医療の安心はさらに厚くなります。
通院が難しくなったときの備え
将来、足腰が弱ったり、病気で外出が難しくなったりして、通院そのものが負担になることもあります。
そんなときに支えになるのが、在宅医療(往診・訪問診療)です。
- 在宅医療とは:医師が自宅を訪ねて診療してくれる仕組み。
通院が難しくなっても、住み慣れた家で医療を受けられます - かかりつけ医に確認しておく:今のかかりつけ医が在宅医療に対応しているか、対応していない場合はどこにつないでもらえるかを、元気なうちに聞いておくと安心です
- 地域包括支援センターと連携:在宅医療や介護と医療の連携については、地域包括支援センターも相談窓口になります
「通えなくなったらどうしよう」という不安は、早めに備えを知っておくことでやわらぎます。
かかりつけ医は、そうした将来の相談相手にもなってくれる存在です。
引っ越し・帰省と、かかりつけ医
住み替えや、子ども世帯との同居などで、住む場所が変わったときは、かかりつけ医との関係も見直しが必要です。
- 転居先で新しいかかりつけ医を探す:これまでの経過や飲んでいる薬の情報を、紹介状やお薬手帳で新しい医師に引き継いでもらいましょう。
前のかかりつけ医に「紹介状を書いてほしい」と頼めます - 持病がある場合は早めに:慢性的な持病がある方は、転居後すぐに新しいかかりつけ医を見つけておくと安心です
- 帰省先での急な体調不良:旅行や帰省の際は、お薬手帳を持ち歩きましょう。
慣れない土地で受診することになっても、情報がスムーズに伝わります
環境が変わっても、医療の「つながり」を切らさないこと。
そのために、これまでの情報をきちんと引き継ぐことが大切です。
よくある質問(Q&A)
Q. 今は健康で、病院にかかっていません。それでもかかりつけ医は必要?
A. はい。元気なうちに、健康診断などの機会に「かかりつけ」を持っておくと、いざ体調を崩したとき、すぐに相談できて安心です。元気なうちの一歩が、備えになります。
Q. 今の先生が合わない気がします。変えてもいい?
A. かまいません。かかりつけ医は、長く付き合う相手。相性は大切です。
ただし、変えるときは、これまでの経過や飲んでいる薬の情報を、新しい医師に伝えられるようにしておきましょう。
Q. 複数の病院にかかっています。どうすれば?
A. お薬手帳を一冊にまとめ、それぞれの医師に、他でかかっている情報を伝えることが大切です。
かかりつけ医が全体を把握してくれると、飲み合わせや重複を防げます。
Q. かかりつけ医は、何科がいいですか?
A. 幅広く体全体を診てくれる「内科」を中心に考えるとよいでしょう。
地域の診療所(クリニック)の内科医は、かかりつけ医に向いています。
持病がある場合は、その病気を継続的に診てくれる医師をかかりつけにするのも一つの考え方です。
Q. 大きな病院に長くかかっています。それでもかかりつけ医は必要?
A. あると安心です。大病院は専門的な治療の場。
日常のちょっとした不調や、全体の健康管理、複数の科の情報のとりまとめは、身近なかかりつけ医のほうが相談しやすい場面が多くあります。
役割分担して使い分けましょう。
「いつもの先生」がいる安心を
かかりつけ医とは、あなたの体を継続して診てくれて、いざというときに最初に頼れる、身近な医師です。
体の不調の相談窓口になり、必要なときは専門医へ橋渡しし、あなたの健康全体を見守ってくれます。
見つけ方のコツは、通いやすさと相性。
何度か通って、「この先生なら」と思える医師を見つけましょう。
そして、お薬手帳や症状メモを活用し、遠慮なく相談する——それが、上手な付き合い方です。
年齢を重ねるほど、体の心配ごとは増えていきます。
だからこそ、「いつもの先生」がいる安心は、何ものにも代えがたいもの。
元気な今のうちに、身近なかかりつけ医を持っておくことを、考えてみてはいかがでしょうか。
<参照>
政府広報オンライン「かかりつけ医・かかりつけ薬局を持ちましょう」
https://www.gov-online.go.jp/
日本医師会「かかりつけ医を持ちましょう」
https://www.med.or.jp/people/kakari/
厚生労働省「上手な医療のかかり方」(かかりつけ医・紹介状・大病院の役割分担)
https://www.mhlw.go.jp/stf/kakarituke.html




